新型コロナウイルス変異種16都道府県173人に感染

南アフリカや英国などで流行している新型コロナウイルスの変異種の感染者が各地で確認され始めている。新たに開発された簡易PCR検査法で早期に検知できるようになったのが一因で、厚生労働省は「感染が蔓延している状態ではない」との見方を示している。

ただ、感染力が強いとされる変異ウイルスの感染が広がれば現在の対策だけでは抑え込めなくなる恐れがあり、政府は検査範囲を広げるなど対策強化を急いでいる。

国内の変異ウイルスの感染者は昨年12月25日に初めて確認されて以降、2月21日現在で計173人にもなる。このうち海外滞在歴がない人は115人で、居住地は、埼玉、東京、新潟、京都、鹿児島など16県に及ぶ。

38人の感染が判明している埼玉県では1月下旬以降、職場や児童関連施設などでクラスター(集団感染)の発生が確認された。端諸は同25日から県衛生研究所が始めた簡易PCR検査だった。新型コロナウイルスの変異種は、国立感染研究所が無造作に抽出した国内感染者の検体を遺伝子解析して発見してきた。

しかし、検査できるのは全体の約5%ほどにとどまり、結果が判明するのに数週間の時間がかかっていた。感染研は今年に入り、都道府県などの地方衛生研究所(地衛研)のPCR検査でも変異したコロナウイスの疑い例を見つけられる簡易PCR検査法を開発、これにより各地方の地衛研で早期に新型コロナウイルスの変異種の疑いがる感染者を補足することが可能となった。

埼玉県で起きたクラスターも早期のうちに確認できており、埼玉県の担当者は「関係者は追跡できている、これ以上感染の規模が広がらないようにしたい」と話している。